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安全性情報

優先評価化学物質の届け出

  1. ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂のみが優先評価化学物質の届出対象です。
  2. ビスフェノールA型固形エポキシ樹脂、及びその他のエポキシ樹脂(例:ビスフェノールF型エポキシ樹脂、
      ノボラック型エポキシ樹脂等)は一般化学物質として届出して下さい。
  1. 国内で製造する事業者
  2. 海外から輸入する事業者
  1. 製造または輸入量が1T未満/年・事業者
  2. 一般消費者に販売される形態で輸入する場合(例えば、塗料・接着剤など)
  3. 国内で製造したビスフェノールA型液状エポキシ樹脂を転売する場合
  4. 化学反応を伴わない混合・成型加工・精製等により製品とした場合(輸入者は除く)
  5. 輸入者が自社内で別の化学物質に反応・変性した場合(一般化学物質として届け出る)

用途番号「98-z;その他の原料、その他の添加剤」は、選択しないで下さい。

BPA型液状エポキシ樹脂の安全性

・「ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂」の変異原性に関して」
 発ガン性試験は多くの動物を使用し、詳細な病理組織学的検査などを実施するため、莫大な費用及び年数(約3年)を必要とする。こうしたことへの対応として、発ガン性予測のための短期スクリーニング方法である変異原性試験が実施されている。しかしながら、変異原性試験で陽性であっても発ガン性でない例も多く、発ガン性の検出には限度があることを理解しなければならない。 変異原性試験の基本的手法(in vitro試験)はエイムズ試験、染色体異常試験、DNA損傷、などでいずれも突然変異によるDNA上の変化を検出するもので、発ガン性を予測する上での合理的な方法として認められている。エイムズ試験は、ヒスチジンを含有しない培地で生育できない、ヒスチジン合成酵素に欠けたサルモレラ菌株(TA98,TA100,TA1535,TA1537など)を用い、検体物質と培養することにより実施される。物質に遺伝毒性があると菌株はヒスチジン合成能を持つようになり、復帰突然変異が起きる。変異原性は復帰変異株から形成されるコロニーの数から定量化される。 しかしながら、エイムズ試験や染色体異常試験に代表されるin vitroの定性的な結果だけでヒトへの有害性へ外挿するは限度があり、in vivo試験としてマウスを用いた小核試験等を実施し、変異原性を評価する必要がある。

 発ガン性試験は多くの動物を使用し、詳細な病理組織学的検査などを実施するため、莫大な費用及び年数(約3年)を必要とする。こうしたことへの対応として、発ガン性予測のための短期スクリーニング方法である変異原性試験が実施されている。しかしながら、変異原性試験で陽性であっても発ガン性でない例も多く、発ガン性の検出には限度があることを理解しなければならない。
変異原性試験の基本的手法(in vitro試験)はエイムズ試験、染色体異常試験、DNA損傷、などでいずれも突然変異によるDNA上の変化を検出するもので、発ガン性を予測する上での合理的な方法として認められている。エイムズ試験は、ヒスチジンを含有しない培地で生育できない、ヒスチジン合成酵素に欠けたサルモレラ菌株(TA98,TA100,TA1535,TA1537など)を用い、検体物質と培養することにより実施される。物質に遺伝毒性があると菌株はヒスチジン合成能を持つようになり、復帰突然変異が起きる。変異原性は復帰変異株から形成されるコロニーの数から定量化される。
しかしながら、エイムズ試験や染色体異常試験に代表されるin vitroの定性的な結果だけでヒトへの有害性へ外挿するは限度があり、in vivo試験としてマウスを用いた小核試験等を実施し、変異原性を評価する必要がある。
日本では微生物を用いるエイムズ試験で陽性、さらに培養細胞を用いる染色体異常試験でも陽性の場合、変異原性物質として扱われる。従って、動物試験(in vivo) 結果は考慮されないため、欧米での変異原性結果の認識に違いが生ずる。

 ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂は平成6年6月6日労働省労働基準局長通達基発第341号の2で所定のin vitro試験結果により変異原性が認められた化学物質に指定された。 一方、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂の主成分であるビスフェノールジグリシジルエーテルに関し、様々な動物試験(in vivo)が実施されているが、結果はすべて陰性と報告されている。これは、in vivo試験の場合、体内にはいったビスフェノールAジグリシジルエーテルは細胞内に分布するエポキシ加水分解酵素により、両末端のエポキシ環が開き、ジオール体になる。このジオール体は5種類の異なったサルモネラ菌株に対して代謝活性プラス、マイナスともに、変異原性を示さないためである。
発ガン性に関し、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(BADGE)単体又はビスフェノールA型エポキシ樹脂をマウスの皮膚に繰り返し塗布する試験 (経皮投与)がおこなわれている。こうした試験では皮膚や皮膚内部組織の顕微鏡観察などで発ガン性の影響は報告されておらず、国際がん研究機関 (IARC)の1999年のレビューではBADGEが動物に対し発ガン性があると断定する科学的証拠は不十分であるとして、カテゴリー3に分類されている。
また、欧州食品安全機関(EFSA : European Food Safety Authority)は、欧州プラスチック連合(Plastic Europe)などによって提出されたBADGE(ビスフェノールAジグリシジルエーテル)のラットによる2年間経口慢性発ガン試験結果および他の有害性情報を精査、発ガン性の懸念はないと結論づけました。
【引用文献】
伊藤信行、高橋道人編集;毒性試験講座13発ガン性、地人書館(1992年)
国立医薬品食品衛生研究所編集;化学物質のリスクアセスメント 現状と問題点 第4章、薬業時報社(1997年)
Regulatory Toxicology and Pharmacology Vol.15, No.2 Academic Press (Apr 1992)
Review of mammalian and Human Toxicology (BADGE) by APME (未発表資料)
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・「BPA型液状エポキシ樹脂」の安全性試験結果」
以下の安全情報は、「Opinion of the Scientific Panel on Food Additives, Flavourings, Processing Aids and Materials in Contact with Food (AFC) on a request from the Commission related to BADGE」(The EFSA Journal (2004)86,1-40)、「Review of the toxicology, human exposure and safety assessment for bisphenol A diglycidylether(BADGE)」Taylor & Francis Ltd, Food Additives and Contaminants, Vol.21, No.9, 905-919, September 2004に記載内容の抜粋です。
【健康影響】【急性毒性】
経口投与
使用動物 ラット
結 果 LD50 > 11,400 mg/kg体重
使用動物 マウス
結 果 LD50 > 15,600 mg/kg体重
使用動物 ウサギ
結 果 LD50 > 19,800 mg/kg体重
経皮投与
使用動物 ウサギ
結 果 LD50 > 23,000 mg/kg体重
皮膚刺激性
試験方法 ドレイズ法
使用動物 ウサギ
結 果 小程度~中程度の刺激性が認められる。
眼刺激性
試験方法 点眼
使用動物 ウサギ
結 果 小程度~中程度の刺激性が認められる。
皮膚感作性
試験方法 Maximization法
使用動物 ギニアピッグ、人
結 果 皮膚感作性がある。
【慢性毒性】
経皮投与
試験方法 皮膚への繰り返し投与
使用動物 ラット、マウス
結 果 慢性皮膚炎を示唆する皮膚の病理変化が観察された。
雌ラットNOEL(影響がないレベル):10 mg/kg/application
雄ラット、マウスNOEL:測定不可
亜慢性経口試験
使用動物 ラット
結    果 副腎、盲腸、回腸、腎臓、肝臓、精巣、子宮に病理変化及び体重増が観察された。
NOAEL:50 mg/kg/day
遺伝毒性(変異原性) インビトロ(エイムズ試験、染色体異常): 陰性、陽性の結果あり
インビボ;動物試験(小核試験): 陰性
2年間経皮投与(発ガン試験)
使用動物 ラット
結    果 1000mg/kg体重までのレベルで、病理組織学的に発ガン性は認められなかった。
2年間経口投与(発ガン試験)
使用動物 ラット
結    果 100mg/kg体重/日投与までのレベルで、病理組織学的に発ガン性は認められなかった。
【環境影響】
BPA型液状エポキシ樹脂の主成分であるBPAジグリシジルエーテル(BADGE)は、簡単には生分解されないが、OECD301B法では、28日間で6−12%生分解する。BADGEは、水性生物への有害性を示す。
急性LC50 1.2−2.4 mg/L  (96時間、魚)
3.6−4.6 mg/L  (24時間、ミジンコ)
試験された、濃度ではBADGEは、水への溶解性がなく(<0.5 mg/L)、微生物への毒性は極めて低い。 また、BADGEの生物濃縮係数は、575であり、生物濃縮性はない。

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・欧州食品安全機関はBADGEの発ガン性の懸念なしと結論
The EFSA Journal(2004)86,1-40 (EFSA-Q-2003-178)

 欧州食品安全機関(EFSA)は、欧州プラスチック連合(Plastic Europe)などによって提出されたBADGE(ビスフェノールAジグリシジルエーテル)の2年間経口慢性発ガン試験結果および他の有害性情報を精査、発がん性の懸念はないと結論、NOAEL(15mg/Kg/day)から一日あたりの許容摂取量TDIを0.15mg/体重Kgとする報告をThe EFSA Journal(2004)86,1-40で公開しました。
 欧州委員会の諮問機関であるSCF(The Scientific Committee on Food )は1999年3月24日付のオピニオンレターで、胃腸粘膜上における直接DNA結合活性の懸念、および経口慢性毒性/発がん性試験結果がないことから、BADGEの1日あたりの許容摂取量TDI(Tolerable Daily Intake )を設定できないとし、BADGE、その水和物に対し、暫定溶出限度として1ppmを向こう3年間 延長することを提案、産業界に対しBADGEの発がん性、BADGEクロロヒドリンの変異原性を評価する適切な毒性試験の実施を要請しました。これに基づき、欧州委員会はBADGEに関するEU指令(Directive 2002/16/EC)を出し、BADGE、クロロヒドリン、水和物に対し、その暫定措置として特定移行成分限界値(SML;  specific migration limit )1ppmを設定、2004年末まで有効としました。その後、発がん性試験結果の提出を待つため、EU指令(Directive 2004/13/EC)で、有効期間をもう1年延長することを公表しました。欧州プラスチック業界らによる2年間の経口慢性毒性発ガン試験(1群あたりオス、雌65匹づつのFischer 344ラット使用、投与レベル0, 2, 15, 100 mg/Kg 体重/day, GLP, OECD guideline 453)は、2003年7月、SCFに受理され、2004年2月に欧州食品安全機関(EFSA)に提出されました。これに基づき、同年7月にBADGEに関するopinionがEFSAジャーナルに公表されました。
 欧州食品安全機関(EFSA)は、ラットを用いた経口投与による慢性毒性・発ガン試験で、BADGEには胃腸粘膜上、また他の組織において腫瘍形成がみられないことから、発ガン性の懸念はないと結論を下しました。さらに、この試験結果より、ラットを用いたBADGEの経口慢性毒性発ガン試験での無毒性用量(NOAEL)は、15 mg/Kg/dayと判断され、不確実定数の100で割った 0.15 mg/Kg/dayが、BADGEの1日あたりの許容摂取量TDI(Tolerable Daily Intake )として設定されるとしています。また、BADGEは速やかに体内で代謝され、モノおよびビスージオール体になるため、このTDIはこれらのものも含めたものとしています。
 これを受けて、欧州委員会(European Commission)は、2005年11月、ENL302/32 Official Journal of the European Union で下記の特定移行成分限界値(SML; specific migration limit )を公表し、2006年1月1日から施行されました。
Commission regulation (EC) No.1895-2005
on the restriction of use of certain epoxy derivatives in
materials and articles intended to come into contact with food
  1. BADGE, BADGE・H2O、BADGE・2H2O の合計値;9ppm以下
  2. BADGEHCL, BADGE 2HCL, BADGE H2O HCL の合計値;1ppm以下
  3. BFDGE及びNOGEは使用禁止
  4. 10,000L 以上のcontainerはBADGE,NOGE,BFDGEともに使用可能
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・欧州はBADGEの内分泌かく乱作用はなしと結論

Opinion of CSTEE on Two study reports on endocrine disruptors by WRc-NSF and BKH consulting Engineers ; 40th plenary meeting on Nov 12-13 2003

 欧州はBADGEの内分泌かく乱作用はなしと結論 EU Commission DGXXIV(消費者政策及び消費者健康保護総局)のCSTEE( The Scientific Committee on Toxicity, Ecotoxicity and Environment;毒性、生態毒性及び環境に関する科学委員会)は,BADGEによるヒト、野生生物への内分泌かく乱作用はないと結論しました。
Opinion of CSTEE on Two study reports on endocrine disruptors by WRc-NSF and BKH consulting Engineers ; 40th plenary meeting on Nov 12-13 2003

詳細
2001年6月、EU Commissionは疑わしい内分泌かく乱物質物質のヒト、野生生物への影響を調査するため、Community strategyを策定し、その遂行のため、欧州理事会、欧州議会にその概要を報告しました。委員会は、553種類の化学物質をとりあげ、Group- 1(9種類;なんらかの内分泌かく乱作用の情報が報告されているがリスクアセスメントなどの対象となっていないもの)、Group-2( 109物質;すでに何らかの規制を受けている、または、リスクアセスメントの対象となっている;具体例;ビスフェノールA)、Group-C( 残り435物質)に分類した。BADGEはGroup-1にリストされ、内分泌かく乱データ、有害性、ヒト及び環境への暴露アセスメントなどの検討を要求 された。 欧州プラスチック連盟が検討に着手、その報告書を、ホスト国のUKに提出、WRc-NSFが取りまとめ、最終報告書をCSTEEに提出した。
BADGEは女性ホルモンレセプターとの結合親和力が極めて弱く、乳がん細胞増殖(MCF-7)アッセイで増殖性がない、卵巣摘出ICRマウスを用いた in vitroアッセイでも子宮重量や病理組織変化などが観察されない、特異な生殖、発生毒性がなく、代謝および生体内変化の研究でビスフェノールAには変化 しないことなどから、BADGEはホルモン活性のある物質ではなく、極めて低い暴露量はひと、環境に影響をもたらすものでないことが報告された。 EU Commission DGXXIV(消費者政策及び消費者健康保護総局)のCSTEE( The Scientific Committee on Toxicity, Ecotoxicity and Environment;毒性、生態毒性及び環境に関する科学委員会)はBADGEによるヒト、環境への内分泌かく乱作用はないとする報告をまとめ、Eu commissionに提出した。
Opinion of CSTEE on Two study reports on endocrine disruptors by WRc-NSF and BKH consulting Engineers ; 40th plenary meeting on Nov 12-13 2003

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BPA液状エポキシ樹脂&BPAの関連ウェブサイト一覧(リンク先の一覧ページにジャンプします。)

エポキシ樹脂取扱いガイドブックpdfのダウンロード
「建築業におけるエポキシ樹脂製品の安全な取り扱い指針」
 Epoxy Resins Committee of Plastic Europeの日本語訳